第9回 作者と劇評家のコトバで読み解く歌舞伎のセカイ     『近松門左衛門Vol.3』

作者と劇評家のコトバで読み解く歌舞伎のセカイ第9回は、2023年6月より連続シリーズでお届けの「近松門左衛門」の3回目となり、3月11日(月)に開催いたしました。

▲雰囲気のある赤城神社

会場は神楽坂の赤城神社参集殿(あかぎホール)。最終回にふさわしい雰囲気のある街と神社に、定員を上回る90名強(?)が集まりました。近松編3回シリーズの最終回ではありましたが、初めて参加する方も多く見られました。(3割くらい?)

また、3回全出席いただいた方には、受付にて楽学倶楽部特製の木ノ下さん田中さんのイラストがプリントされたクリアファイルがプレゼントされました。

「近松門左衛門」シリーズの集大成となる3回目は、まずは配布資料の近松の略年譜全体を見ながら、近松の人生を3つのタームに分けて簡単に振り返りました。

▲いよいよスタート

第1タームは近松の駆け出し時代。近松が人形浄瑠璃を書いていた20代~です。第2タームは歌舞伎にフィールドをうつした40代。第3タームは、人形浄瑠璃作者に戻った50代です。

講座の前半は、近松が3つのタームを生きる中で、何をテーマにしてきたかということについて資料を基に掘り下げ、さらに映像「傾城仏の原」を観ながら再確認していきました。

第1タームで、「すべてのものに生きているかのようなリアリティを持たせる『情』」を大切にした近松は、第2タームで初代坂田藤十郎と出会い、練りに練ったコトバだけではなく肉体からほとばしる言葉や「芸とは実と嘘の皮膜の間にあるもの」という気付きを得ます。そして第3タームに入り、それらが血となり肉となり円熟した作品を発表していきます。

▲木ノ下さんと田中さんの掛け合いもいいバランス

講座の後半は、近松の円熟期となった第3タームでの傑作『心中天の網島』を深掘りして、作品の魅力に迫りました。

生涯のうちで近松が書いた11の心中物のうちの10作目である『心中天の網島』は、初期の『曽根崎心中』に比べ、登場人物も構成も複雑になっています。また好景気の元禄時代とは異なる社会情勢も踏まえながら、作品を追っていきました。

マクロの視点からミクロの視点へとグーグルマップのように入り込んでいく木ノ下さん独特の作品の読み解きかたが圧巻でした。

水・恋の縁語をちりばめた詞章。神と紙といった対語などに代表される神聖なるモチーフと俗のモチーフが同時並行して迫る作品の構造。衣裳や小道具にまでモチーフがちりばめられていることなど、細かく解説され、あらためて作品の深さ、近松の偉大さに気づくことができました。講座後のアンケートでも「非常に面白かった」「興味が増した」といった感想が多く書かれていました。

また人形浄瑠璃と歌舞伎の世界を行き来した近松の生涯を追うことで、どちらの世界の深さも味わうことができる充実した講座となりました。

次回からはまた構成も新たに講座は継続して行われることとなります。詳細が決まり次第HPにて発表いたしますので、ご期待ください。

両先生、ありがとうございました。

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